学生受賞記念寄稿



藤瀬賞受賞を受けて 佐藤 貴哉

藤瀬賞受賞を受けて 舟山 浩介


藤瀬賞受賞を受けて


佐藤 貴哉


 この度はこのような名誉ある賞をいただけることとなりました。受賞にあたり、まずは素直にうれしく思っています。研究室配属から院試まではもちろん、今日まで多方面でサポートをしてくださった寺前紀夫教授、西澤精一准教授、佐藤雄介助教、そして研究室を越えた諸先輩方に心より感謝申し上げます。

 本賞は大学院博士課程前期試験の結果を受けて授与されるものでありますが、人生の一つの分岐点ともなる大学院試験に向けた2カ月弱の長期の受験期間においては、自分自身の努力だけでなく、研究室の存在が非常に大きかったと思っています。

 私が所属する分析化学研究室では、院試に向け毎年先輩方が勉強会を開いてくれます。ここでは共に大学院入学を目指す同期(今年は6人全員でしたが)と共に、毎週勉強する時間を作ることができました。この勉強会は自分の日常の勉強のリズムを保ち、また、共に手を動かし口を動かし勉強することで、黙々と本・プリントの山に挑み続ける日々に良いアクセントとなりました。これもお忙しい中勉強会を開いてくれた先輩方お陰であり、そして同じ目標に向かって進む同期の存在があったからこそ、と思っています。

 ふと考えてみると、今でこそ研究について議論することは多々ありますが、学部時代に同期で集まり化学の問題についてあれほど真剣にディスカッションする機会を持ったのは、後にも先にもこの時くらいしかなかったのではないだろうか。いつか院試勉強の日々を懐古する時が来たら、苦しいながらもどこか充実していた日々として思い出すのだろうか、とも思います。

 現在私は学部より頂いた研究テーマに関して日々研究に精進しています。昨年はM1ながら多くの学会に参加する機会を与えていただき、私たち研究室で取り組む「分析化学」にとらわれない、様々な研究に触れることができました。志高い同世代の研究者との交流の中で積極的に質問し、意見を言う姿勢を身につけることができましたし、なにより私が知らない、しかしとても興味深い研究が数多くあることに刺激を受け続けた一年でした。大学院への入学で自分が自分自身で分かるくらい成長しているのを感じ、大学院進学を決意したことは間違いではなかったと改めて思うところです。

    

 最後になりましたが、このような機会を与えてくださいました東北化学同窓会の皆様に感謝申し上げます。今後も本同窓会皆様の一層の御指導と御鞭撻を賜りますよう,どうぞ宜しくお願いいたします。


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藤瀬賞受賞を受けて


舟山 浩介


 今回、藤瀬賞という素晴らしい賞を戴けたことは、支えてくれた先生方、先輩方、友人たちに恵まれたためであり、この場を借りて感謝の意を示したいと思います。藤瀬賞は、院試で上位であったものに与えられる賞であり大変光栄に思います。

 はじめに、院試勉強について思い出について書きたいと思います。院試休みの間は、友人たちと毎日のように図書館などに集まって一緒に勉強していました。しかし、図書館のソファーがあまりにもすわり心地が良かった為に、休憩時間が勉強時間を上回る日々も少なからずありました。特に青葉山分館のソファーのすわり心地は群を抜いており、一日中ソファーに座ってしまうという日も二、三日あったと記憶しています。ところが、今になって思い返すと、最初はくだらない話をしていても、最終的には院試の勉強の進行具合などの話に収まり、少しプレッシャーを感じて勉強に戻っていたのかもしれません。そのおかげで、ある程度のメリハリがある勉強ができたのかもしれません。

 院試を乗り越えてからもう二年近くの月日が流れました。現在私は、学部3年時に配属された反応有機化学研究室で研究に取り組んでいます。研究内容は、新しい不斉ブレンステッド酸触媒を設計・合成です。研究は、一朝一夕では何も得られず、忍耐力が必須であることを身を以て感じております。しかし、苦労の中に新しい発見を見いだせること、自分だけの分子を作ることができることなどが科学者の特権であると思います。

 さて、順序が逆転しますが私は学部3年次の3月11日に、東日本大震災に見舞われました。あの日に味わった、言いようのない絶望感、恐怖は忘れられません。あの日、研究室で合成実験を行っていたところ、ゆっくりと揺れ始め、気が付いた時には有機溶剤やガラス器具の破片が一面に広がり、天井からはエアコンがぶら下がっている状態でした。

 あの震災から数か月を薬学部に間借りして実験させていただいたこともありました。さらに復旧工事を経て、この一年ほどで元の環境が戻り研究室も落ち着きを取り戻しつつあります。あの困難な状況から現状まで復旧することができたのは、さまざまな方々の温かいご協力のあり深く感謝しております。

 最後に、東北化学同窓会の皆様に感謝を申し上げるとともに、益々のご発展を心からお祈り申し上げます。

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